ギターの音と構造の関係 #015 ネックの話
- mimashunta
- 2015年7月13日
- 読了時間: 4分
前回までシンクロトレモロについて、長々と話をしてきました。
今回は、ハードウェアの前にネックの話に入ろうと思います。
素材云々で言えば、ストラトはハードメイプルを使ったネック、というのが特徴です。
メイプルというのは、カエデの木。広葉樹です。
メジャーリーガー達にはバットとして使割れるほど。硬くて、粘りのある丈夫な木材です。
それでいて、トラ杢など、様々な付加価値があったりということで、ギターにおいても幅広く使われている木材です。
ちなみに、ハードメイプルとソフトメイプル、と言いますが、基本的には産地の違いだと思って間違いないでしょう。
北の方ではゆっくり育つため硬く重く、南の方では早く育つため、柔らかく軽い木材になります。
ネックには基本的にハードメイプルを使うべきなのですが、トラ杢などが出やすいのはソフトメイプルなため、見た目を求めてソフトメイプルを使ったり…ということもあるようで。
というか、多いんですよ。
杢がバリバリに出てるネックが、すごい勢いで反っちゃったってパターン。
Fender Custom shopの高いギターでも、反っちゃったってのは割とあります。
で、ご存知の通り指板がローズかメイプルか、という違いもありますね。
ローズに関して言えば、一番初めはブラジリアンローズ、いわゆるハカランダを使っていたので59-62あたりのモデルはそこも込みで人気があり、値段も高くなってますね。
ハカランダはやはり密度が高く、重いですね。
木材状態で日本に新しく輸入することは基本的に出来ないのと、
ハカランダを使ったギターを輸入するのも許可が必要です。
現在、エレキギターの指板に使われているのは、殆どインドローズです。
ローズとしては比較的軽いです。
が、皆さんが思ってるローズの音ってのはこのインドローズの音だと思います。
見た目が黒い方がいい….などの話もありますが、弾数が多すぎてバラツキも非常に大きいので、
弾いてみていいかどうか、ってところです。
基本的には密度が高い物を選んだほうがローズの特性はよく出るでしょう。
さて、ローズとメイプルの違いという中で、指板面の塗装の有り無し、というのもあります。
これは結構大きいです。
メイプルの場合、指板面も塗装を載せてしまうので、ローズに慣れた人は弾きづらいと言う人も居ますね。
ただ、塗装が乗っていないと言うことは、木も動きやすいと言うことなので、
ローズ指板の場合定期的にレモンオイルなどで保湿してあげてないと、
ネックが反る原因になったりもします。
そう言う意味では、塗装の載っているメイプルは比較的メンテナンスフリーで安定している、とも言えます。
ただ、ビンテージなどになるとラッカー塗装が剥がれてしまったり、という個体も多いですね。
そうなると弾き心地に関してはメイプルもローズも大して変わらなくなっちゃうかなとも思います。
さて、ネックの素材に関してはこんな感じでしょうか。
そもそもギターのネックは、弦に引っ張られても反る前提の設計がされているので、
反ってもちゃんと調整してあげればいい…というだけの話です。
しかし、捻れてしまったり、波打ってしまうと、リペアが必要になるわけです。
そういったネックに当たらないように、安定しているネックを選びたいものですが、
買った時点ではバッチリでも少しすると…なんということは輸入物にはありがちな話。
なんでそういうことが起きるかというと、湿度や環境が変わると、ネックは動くものなので。
なので、日本に来てからすぐのギターは避けたり、
トラ杢がバッチリ!みたいなギターは選ばないほうがいいです。
また、国産だったりしても、反るギターは反ります。
と言うか、木というのは削れば反ります。
削らなくても、天気次第で動きます。
じっくりと作れれば、木の反りや動きを見ながら、
安定した状態で塗装、ということが出来ます。
ですが、急いで作ると完成してから動く...ということがあるのです。
それも完成してからすぐではなく、季節の変わり目に一気に...なんてことも。
時間をかければ値段にも反映されるのですが、高いからじっくり作っている...というわけでもなかったり。
それはメーカーごとに違ったりするので、そういったことも意識するとブランドイメージをつかみやすいかも。
ただ、木材で作っている以上、どんなギターでもネックは反る、と思っていたほうがいいと思います。
そして、反りっていうのはどれほど影響するのか...というのもお話したかと。
しかし、そんなに怯える必要はありません。
状態を把握して、適切に対処すれば、ギターは弾きやすい状態に戻せます。
そのための知識やサウンドへの影響...
なんて言う話を次回。
最新記事
すべて表示だいぶ間が開きましたが。 空白期間に4年ほど楽器店に勤めました。 裏方3年→店頭1年。 裏方として中古楽器関連のWebまわりをやらせてもらってたのはとても勉強になりました。 中古楽器のスペック調べてショップページに載せてく作業。...
冷静になる前に記したい。 今日はとてもいい日だった。 ただ一本のギターが全て。 極めて冷静に書きたいのに、どうしようもなく感情的になってしまう。 感情的になるほど、伝えたいこととは離れてしまうが。 2年ぶりにハンドクラフトギターフェスに行った。...
先日、銀座と新宿で幾つか機材を弾いたので久しぶりの更新です。 楽器屋巡り自体も久しぶりでしたが、なかなかいい体験をさせて頂きました。 BOSS PW-3 まずは銀座の山野楽器にて、BOSSの気になってたワウを試奏しました。...
Kommentare