ギターの音と構造の関係 #012 シンクロトレモロの調整その1
- minashunta
- 2015年7月2日
- 読了時間: 4分
ということで前回はシンクロトレモロについてさらっと解説しましたが、
今回はどういう状態にシンクロトレモロを調整すればいい音になるか、
どこをどう調整すればいいか、という話。
一番の問題は、弦高ということで。
今回はシンクロトレモロブリッジ全体を調整することで弦高を低くする方法、です。

この状態は、いわゆるベタづけ、と言う状態です。
裏のバネをしっかり効かせて、アームは使わないセッティングです。
逆に、アームをよく使うというならこんな感じ。

これがフローティング状態、と言います。
さて、これらは狙ってセッティングしてなっていればいいのですが、
よくある上にもったいないのが「狙ってないのにフローティングしちゃっている」状態です。
例えば、Fenderの出荷状態って基本的にフローティングさせてます。
でも、アームを使わないのだったら別にフローティングしてなくていいんです。
見比べればわかると思うんですが、ブリッジサドルが同じ高さだったとしても、
フローティング状態のほうが、弦高が高くなってしまいます。
(この写真だとその分サドルを下げて対応してるわけです)
例えば音の好みでアーム使わないけどフローティングさせてる、っていう場合もあります。
そこは好みです。
でも「ベタ付とフローティングの音の違いを知らないけど、フローティングしてる」
というなら、一度ベタ付け状態にしてみることを薦めます。
あとは、よく高校生のギターなんかで見るのが極端に弦に引っ張られてるような状態。

これ、高校生くらいの時によく見ました。
まぁべらぼうに弦高が高い。
チューニングも合わない。
調整もできない。
アームを使ったとしても、ダウンしか出来ないような状態です。
いいことは1つもないですね。
さてさて、総じて。
どうすればいいのか。
ギターをうらっ返して....

ここのネジを締めましょう。

そうするといい具合の高さ、もしくはベタ付に出来るはずです。
この時、弦を少し緩めてからじゃないと、弦が切れることもあるので、要注意。
フローティング状態が原因で弦高が高くなっている場合、まずはこれで対応できますね。
さて、これで終わり...ではありません。
弦をしっかりゆるめた上で、一度裏のバネも外してしまいましょう。

はい。
トレモロブリッジを支えている六本のネジ。
これを観察してみましょう。


はい。
高さは揃ってるでしょうか。
(ちなみにこのセッティングは両端だけ締めて、真ん中4本やや浮かせ...というセッティング。)
例えばこんな状態になってると困っちゃいます。

これだと浮きすぎ。
この写真はわかりやすく浮かせててますが、
例えば浮いてないように見えても、裏から触ってこんなふうに動くのなら、浮いちゃってるわけで。
わかりますか?
逆に締め過ぎちゃってると、こうなっちゃったり。
ということで。
このように自由に動くでしょうか。
ひっかかりがあったり、左右にガタついたりという場合、正しく取り付けられていないということになります。
見ての通り、シンクロトレモロというのは六本のネジで止まっている訳です。
このネジ穴が真っ直ぐ空いてなかったり、ねじれていたりすると、チューニングが安定しなかったり、アームを使うのはちょっと厳しいギターになってしまいます。
これを改善するためには、一度穴を埋めて、綺麗に穴を開け直す必要がありますが、個人で行うのは勧めません。
普段からそういった仕事に慣れていて、工具や機械を持っているのなら問題ありませんが、それ以外の方は工房に出すことを勧めます。
特に問題がない、という方。
では、ネジの高さを調整しましょう。
ネジ全般に言えることですが、必ずネジ穴に合うドライバーを使いましょう。
ネジ穴がなめてしまっているギターはよく見ます。
横着せずに、ちゃんとドライバーや六角レンチを揃えて、適切なものを使うようにしましょう。
特に、サビてしまったり、レリック仕様のものに関しては気をつけてください。
これは、調整のイメージ。
まず、全てのネジをゆるめた状態から端を締めます。
締めていくと、ブリッジが少し浮くポイントが有りますね。
そのあたりで調整すれば、OKというわけです。
もう片方の手で触って感触を確かめながら、ベストなポイントを探っています。
で、ベストなポイントってどこなの?
基本は「ガタつかない、ベタ付けもフローティングも出来る状態」
ですが。
じつはそのポイントって結構広いんですね。
それが、ストラトというかシンクロトレモロの面白いところ。
微細な締め具合でサウンドにバリエーションを持たせることが出来ます。
どんなふうに....?
と言う話を、次回。
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