ギターの音と構造の関係 #011 シンクロトレモロと弦高
- minashunta
- 2015年7月2日
- 読了時間: 3分
なぜ、一番初めにブリッジを取り上げるのか、疑問に思う方も多いと思います。
実は、ギターのサウンドを徹底的に解剖して、個体差のない。素材の違いなども取り除いて残るのは、そのギターの設計。
ネックの仕込み角や、ボディの加工など。
そして、その設計を決めるポイントは、どんなブリッジを使うか、によって変わってくるんですね。
例えばレスポールのネック仕込み角は年代によって変わっていますが、
それはブリッジが変わったからだったりします。
んで、やっぱりブリッジの違いってのは音に影響が出ます。ものすごい。
なので、今後どんなギターでも一番に取り上げるのはブリッジまわりから、と思っていただければ。
まずはシンクロトレモロの特徴を見てみましょう。

一番注目して欲しいのは、サドルが各弦で独立している、ということ。
これはかなり先駆けです。
テレキャスターは3分割でしたが、ストラトは各弦ごとにオクターブチューニングができるようになりました。
そして、シンクロ「トレモロ」ということでアーミングビブラートが可能に。
裏のバネとの調整してフローティングさせれば、アップもダウンも対応できます。
そもそもはコードを弾いて少し揺らす、と言う使い方を想定していたわけですが、プレイヤーや、音楽が進化して行くなかで、ジミヘンに代表されるような激しいアーミングも多用されるようになりました。
今の時代では、先にプレイありきでギターやパーツが設計されて行きますが、ギター先行でプレイがあとからというのは、かなり凄いことだと思います。
逆に、激しいアーミングをしてもそれだけ安定性があった、という意味でもありますね。
アーミングを使わないとしても、サウンド面ではかなり影響のあるブリッジです。
というか、セッティングによって様々なサウンドが出せるのと、例えば
ブロックの交換でトーンをチューニングしたり、という。これも当初は想定されて居なかったこと。
そういった、潜在的な拡張性の高さも含め、完成度の高い設計のブリッジだと言えます。
さて、ではシンクロトレモロが載っていればどのギターもシンクロトレモロの音がする…と。
一応はそうですが「いいシンクロトレモロの音」とは限らないわけです。
ここまで読んできた方はわかると思いますが、調整が重要。
残念ながら、世の中の多くのシンクロトレモロは、そのポテンシャルを引き出せていないという、非常にもったいない状態になってます。
新品で並んでいてもそうなので…嘆かわしいというか。
ではどういう状態なら、いい状態と言えるのか。
写真を見ながら解説して行きましょう。

これは僕のメインギターであり、初めて作ったギターでもある、ストラトさん。
Vinecasterというモデル名も一応はつけてます。
ブリッジの状態を見てみましょう。


はい。
どうでしょうか。
ご自身の持って居るギターとあまり変わらない?
ならばそれはきっといい状態。
では逆にどんな状態が悪い状態なのか。
例えば、ブリッジミュートがしづらいとか、そんなことありませんか?
ブリッジからイモネジが飛び出ていて、痛いとか。

サドルが平行じゃなく斜めってたり、というのも、良くないですね。
しかし、弦高が高いと弾きづらいのだから下げなきゃ仕方ない…と。
思ってる方。
そんなことはありません。
ブリッジを下げないで、弦高を低くする方法はいくつかあります。
ということで次回はそういう話。
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