ギターの音と構造の関係 #006 音程とネックの反り
- minashunta
- 2015年6月10日
- 読了時間: 4分
さて、前回はネックが反っていることで考えられるサウンド面でのデメリットをお話しました。
でも音はエレキギターならどうにかなっちゃう!
という話でしたが、今回はもっと大きな問題。
ピッチが合わない。
さて、ピッチというのは音程のことですね。
音程が合わない?ペグ回してチューニングすればいいんでしょ。
いやいや、そうじゃないんです。
それは開放弦では合ってるかもしれませんが、1〜3フレットやらハイフレットやらで弾いたときに確実にズレてるはず。
じゃあオクターブチューニングってやつをすればいいんだね。
いやいや、12フレットだけ合わせても他はやっぱりずれたママなんです。
なぜそういうことが起きるのか。
基本的なところを、説明しましょう。
頭のなかに、紙とペンをご用意。
余裕が有る方は実際に紙とペンをご用意。
まず、横に伸びる直線を一本。
左端と、右端に点をグリグリ。
左側が、ナット、右端はブリッジです。
この、左側から右端までの長さが、スケールと呼ばれるものです。
ロングスケール、ショートスケールなどと言われて、例えばストラトやテレキャスジャズマスはロングスケールで、ムスタングやジャガーらショートスケールだったりと、モデルによって変わってきます。
ベースだともっと長かったりしますね。
ちなみにロングスケールの場合、648mm。
たった64センチです。意外とそんなもんなんですよね。
だいたい腕の長さと同じくらいかな。
さて、ナットからブリッジができたので、そこに弦を張りましょう。
まっすぐ、直線なので平行に、同じ長さの直線。
そして、スケールのちょうど真ん中に点。それが12フレットです。
他のフレットも、イメージだけ打っておきましょうか。
ギターを見れば分かる通り、ハイフレットになればなるほど感覚が狭くなっていきますね。そういうイメージさえできれば大丈夫です。
音の高さというのは、
この
・フレットからブリッジまで距離
・弦を引っ張る強さ(ペグの巻き具合ですね)
・弦の太さ
で決まります。
距離が短くなれば音が高くなり、
弦の引っ張る力が弱ければ同じ長さでも音が低くなる。
そして同じ強さで同じ長さでも、減の太さが違えば音の高さは違う。
それを狙った音程で12音階に当てはめるために、スケールが決まっていて、そこに準じてフレットが打ってある、と。
なんとなくわかっていただけたでしょうか。
では今までの事を全て図解してみましょう。
まずこれが普通の状態。

次にこれがやや順反り。出荷状態ってこんなもんです。

最後に大袈裟に順反り。明らかに状態が悪いですね。

ちょっと弦高が高いですね。ブリッジ下げましょうか。

はい。見て分かる通り、低くなったところと、高いままのところがありますよね。
明らかに真ん中らへん抑えたって音が出ないだろって感じです。
なので、たぶんこの人はもうちょっと上げたんじゃないですかね。
(と言ってもわかりやすく誇張して書いてるので、図はそのままですが音が出るというくらいになったとイメージを。)
で、この状態で12Fのハーモニクスと実音がおなじになるようにオクターブチューニングをしてみましょうか。

順反り状態だと、ナットからブリッジまでの距離は若干短くなっちゃうので、ブリッジが少し離れました。
これで12Fの実音とハーモニクスが揃いました。
いわゆる「オクターブチューニングを合わせた状態」ですね。
さぁ、しかし。
ブリッジからそれぞれのフレットとの距離はどうでしょうか?
もう一度、ネックが真っ直ぐの状態を見てみましょうか。

ここに、重ねて比べてみましょう。

はい一目瞭然。
こんな状態じゃ、音程が合うはずがない、ということ。
わかって頂けたでしょうか。
弦が一本でもこんなにひどいのですが、困ったことにギターは六本もあるんですね。
しかもそれを同時に弾いてコードを鳴らさないといけない。
若干のズレがギター独特のコード感の一端を担っていたりしますが、
それってネックが真っ直ぐの状態でも起こることなんですね。
なので、こんなガタガタの状態で弾く和音っていうのは、気持ちが良いはずがない。
「じゃあ....どうすればいいの?
こんな悪い状態じゃどこからいじっていいのやら....」
じゃあ楽器屋さんや工房に持って行こう。
「でも工房も評判が良かったり悪かったりどこに行けばいいかわからないし...」
はい。残念なことに当たり外れが有ります。
楽器屋さんもしかり。
そこで、ちゃんといい状態にしてくれる楽器屋さんや工房さんの探し方を考えてみましょう。
という話を次回。
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