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ギターの音と構造の関係 #016ネックの反りと夏

  • minashunta
  • 2015年8月11日
  • 読了時間: 5分

前回はネックの素材の違いと、

なるべく反らないネックを選ぶには…なんて話をしました。

さて、今回は反ってしまう理由と予防、反ってしまった時の対処法等を色々考えていきましょう。

ご存知のかたも多いと思いますが、ネックには順反りと逆反りというものが有ります。

まずは順反り。

順反りというのは見たとおり、弦高が高くなって弾きづらい、というのが主な症状。

次に逆反り。

ローフレットの音が出ない...と言うのは逆反りが多いですね。

では、何故ギターは反るのか、と考えてみましょう。

1.弦の力で引っ張られているから

と言う理由と

2.木材だから周りの環境の変化に影響される

と、大きく分けて2つ理由が考えられます。

1の場合、順反り方向に引っ張られているわけですから、

順反りの原因としては考えられても逆反りの原因としてはあまり関係なさそうですね。

2の周りの環境の変化、というのは。

例えば季節の変わり目や、北海道から九州への移動による気温と湿度の変化。

もっと短期的に言えば、今の季節の野外ライブで空調管理された屋内からいきなり35度の直射日光...

なんて環境の変化です。

環境の変化の場合は、逆反りの場合もあります

実は、逆反りは場合によっては非常に厄介なのです。

少し補足をするとギターのネックにはトラスロッドというものが入っています。

このトラスロッドは基本的に、順反りには対応できるのですが、逆反りには対応できません。

対応できるダブルアクショントラスロッドもありますが、主にストラトに使われているのは、スタンダードなトラスロッドです。

どんな風にトラスロッドが仕込まれているのか、というのはネックをぶった切って...と言う豪快な写真がありました。

このように、曲がって仕込まれています。

トラスロッドを締めるとこの棒がまっすぐになろうとするので、締めていくと逆反って行く、というわけです。

結果的に弦の力と釣り合っていれば、真っ直ぐになるわけで。

なので、順反りというのは比較的対応しやすいと言えます。

しかし、逆反りの場合。

例えばある程度ロッドが締めてあって緩めることで対応...というのが普通なのですが。

緩めきっても逆反り...と言うギターもあります。

あとは、トラスロッドが効く部分は曲線の頂点になるのですが、

その頂点と違う部分が反ってくると、トラスロッドだけでは調整できないですね。

そうなると、リペアが必要になってきます。

そして、単なる「逆反り順反り」と「まっすぐじゃない」と言うことは似ているようで違います。

例えば捻れてしまったり、波打つように反ってしまったり、イロイロです。

環境の変化に影響を受けやすいギターもやはりあるわけで、

それは例えば時間をかけずに作ったネックなんかは特にそうなのです。

このあたりは、ギター選び方として。

ブランドイメージだけで選ぶのではなく。

どうやって、どのくらいの時間をかけてネックを仕上げてるのかな?なんてことを今はホームページで調べたり、

なんなら工場見学に行ってみたり...ということも出来ます。

話を戻します。

まっすぐじゃない、捻れてしまったり、波打ってしまったり、

順反り逆ゾリでもトラスロッドでは調整できない状態になってしまった場合。

リフレットや指板修正などで対応するしかなく...指板を削ったりということが必要になります。

こうなると、ギターの寿命は大きく減ってしまいます。

例えばビンテージなど、何十万、何百万もするギターは新しい指板を貼る、なんてこともリペアの選択肢としてはあるのですが、

予算としては10万円は必用と思っていたほうがいいです。

よほど、思い入れがあるのなら払えると思いますが、

自分の買った時より高い値段をリペアに払うというのも、なかなか出来ない選択だと思います。

なので、なるべく気をつけるに越したことはありませんね。

ではどう気をつければいいか、と言うと。

今の季節、湿度もちろんですが、気をつけたいのは温度の変化です。

一日通して空調管理された部屋においておくか...もしくはなるべく温度変化が少ない部屋に置いておく…というのがいいと思います。

ケースに入れておいても、暑い場所にあると逆効果だったりもしますし、

お昼ごはん食べるときに炎天下の駐車場で車に入れっぱなし...

なんていうはかなり危ないですから、お気をつけ下さい。

あと局所的な話ですが、野外ステージでライブをする場合。

なるべくそのライブをする環境に慣れさせるため、本番前に早めにギターを出して慣らしとくのも大事かと思います。

本番中にいきなりネックが反ってくる、なんてことは無いと思いますが、

同じ環境に慣らした上でチューニングしないと、本番ではかなり不安定になってしまいますので。

暑い暑いとは言っても、やはり夏は外が一番気持ちのいい季節。

野外ライブもいいですし、ギターと一緒に色んな所へお出かけなどなど…。

夏休みだからできる、ギターとの豊かな日々をお楽しみください。

次回は、簡単な順反りと逆反りの判断方法と、自分で出来る範囲でネックを調整してみよう、と言うお話。

 
 
 

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