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ギターの音と構造の関係 #008 自分でギターをいじるリスク

  • minashunta
  • 2015年6月13日
  • 読了時間: 6分

前回は弦高調整をしっかりするため、弾きやすく、いい音がするギターにしてもらうために、信頼に足る工房や楽器屋を探すためにはどうすればいいか、という話をしました。

今回は、近くに楽器屋がないとか、ギターのことをもっとよくわかりたいという方向け。

そういう感じ。

安上がりに仕上げたい、という方や、工房ってなんでそんなお金取るの?

なんていう方も、読んでみれば少しは納得いけるかと。

その1。

そのギターのいい状態や、目指すべき状態がわからないといいギターには出来ません。

プロの技術者はたくさんのギターを弾いて、治して来てます。

例え一点物のギターだとしてもそのギターの持つポテンシャルを理解し、そこを引き出しながら、持ち主、プレイヤーの好みの状態に仕上げる能力をもっています。

その2。

ギターの種類によって調整できる部位は違いますし、その各部位をいじることによって生じるメリットとデメリットを考慮しながらギターを組み立てて行く必要があります。

例えばフェンダースタイル、ネジで止まっているデタッチャブルネックのギターであれば、シムを噛ませることでネックの仕込み角度を変えることが出来ます。

ギブソンスタイル、例えばtune o maticブリッジが乗っているのならば、ブリッジとテイルピースの間の弦の角度を調整することが出来ます。

アコースティックギターでも、単にブリッジサドルを削るだけの選択肢や、ブリッジ(木材部分)も削る選択肢があったり。

シムを噛ませるってだけで、嫌なイメージを持つ人なんかは、挟まってる奴を取っちゃったりしますが、それで生じるデメリットを知らないからそんな事が出来るわけですね。

その3

それぞれの要因が理解出来ていても、それを理想の状態にするための技術は一朝一夕、ましてや自分の持ってるせいぜい10本程度、ギターを調整したところで身につきはしません。

僕自身も仕事でたくさんのギターを調整させて頂いていますが、もっとたくさんのギターを調整して来ている諸先輩方にはまだまだまだまだ及ばないわけです。

と言っても物によっては時間がかかるけど、丁寧にやれば出来る部分もあります。

自ら自分のギターの調整をやりたいんだ!

という方は是非チャレンジしてみてください。

しかし場合によっちゃ「その方がコストがかかる」と思った方がいいです。

例えばプロなら30分で終わる作業でも、素人なら1日2日かかっちゃうでしょう。

その時間バイトして稼いで、プロに頼んだ方が、仕上がりもいいでしょうし。

趣味的に、自分のギターをいじってみたいとか、ギターのことをよく知りたい、勉強したいと言うならいいと思いますが、安上がりとかそういうことを考えるのは、僕は勧められません。

自分でいじることでもっと狂ってしまって、結果的に工房に出すことになったりとか。

インターネットの情報を鵜呑みにして作業だけして状態が良くなったつもりで弾き続けたりとか。

そんなことは、おそらくよくある話。

何も知らずに

「シムが挟まってるギターは駄目」

「弦高はブリッジ下げればOK」

「チューニング狂っちゃうならTASQに交換する」

「音がペラペラならピックアップを変えろ」

「ギターなんてどれも同じ。エフェクターが全て」

とか、まぁそんなことを謳うインターネットのサイトや某掲示板の書き込みはたくさんあるわけで。

なので、本気で自分のギターの調整をしたいのなら、一度相性のいい工房に出して、その仕事ぶりを体感しましょう。

これだけ変わる。これだけ変えられる。一番実感するのはあなたです。

さて、ここまで続けて書いてきましたが、別に皆さんを脅そうと思ってこういう記事を書いているわけではありません。笑

プレイヤーさんに知っておいてほしい事を、知っていると特をするように、と思って書いています。

次回からは、ギターの種類ごとにどういったポイントを抑えていれば鳴るようになるのか、そのギターの特性は何なのか、といったことを書いていきたいと思います。

(今までよりだいぶ楽しそうでしょ?本当はこっちが書きたいのですよ。笑)

では、また次回。

と、追記。

もし、もっと詳しく知りたい、ギターを一から作る人間になりたい。

そういう仕事がしたいというなら。

僕の母校であるFernandes guitar engineer schoolをススメます。

究極の少数精鋭、先生は一人です。

最近は生徒数も少ないため、塗装ブースや木工機械も使い放題。

でも業界には沢山の先輩が居ます。

都内の楽器店員さんは他の学校の生徒さんが多いですが、製作工房等は圧倒的にFernandesが多いですね。

他の学校の卒業生の方に聞いたところ、他と比べて縦と横のつながりが太いのも特徴らしいです。

使わせてもらえる木材もいいもので、パーツは全て国産品の確実なもの。

平日週5日、9時から18時まで。場合によっちゃ土曜も開いてます。

年間通して授業時間のほとんどは、作業時間に当てられます。

もちろん製作過程ごとに、座学の授業は有りますが、圧倒的に作業時間です。

これやってあれやって、という指示はなく、

二年後に卒業したら仕事が出来るように自分で考えたり、

どうすればいいかを先生に教えてもらいながら、過ごしていくわけです。

他に通ったことはないので、比べてどうとかはわかりませんが、

学校によっては午前午後の入れ替え制だからほとんど作業できないとか。

あとは学校法人かどうかは、高校生の皆さんには重要かと思います。

定期が学割が効くかどうかと言ったメリットばかり気になりますが、

一般教養などといったギターに関係ない授業をしなければいけないわけです。

短大卒の肩書は付くわけですが、

そもそもギターを作って仕事としたいというのならそんな肩書は無意味です。

ちなみにFernandesは学校法人等ではないので、そういった無駄な授業は一切ありません。

親御さんがどうしても学校法人じゃないとダメだ、というなら仕方ない...と考えるもよし。

俺はこう思うから、絶対ここに行かせてくれ、と言うもよし。

ただ「ここの学校に入ったからって就職できる」なんて言う世界ではありません。

それはどの学校でも同じ。

逆に、就職率を謳うのであれば、どうでもいい楽器屋などに就職させちゃうことも出来るわけです。

さっき言ったとおり、最近は生徒数も少ないため、頑張ればちゃんと受け口は有ります。

そういうわけで、僕が知るかぎり日本で一番いい学校だと思いますよ。

もちろん、海外にも製作学校はあるので、そちらに視野を広げることだって、

あなたの頑張り次第では出来ないわけじゃない。

あとは例えば、高校を卒業してすぐに楽器屋で働く事もできますが、

ギターの調整の仕方とかって、ホント色々あるんです。

いいやり方もあれば、そうでないやりかたもある。

本当にそれで仕事をしたいのなら、間違いのないクオリティの高い仕事を知った上で、

求められるレベルの仕事が出来るようになったほうが、絶対いいです。

「ギター業界で働いてる気分」になって満足してしまうのが、一番もったいないと僕は思います。

ギターの調整や製作で、お金を稼いで生きていきたいのか。

ギターの調整や製作を、自分の人生で極めたいのか。

ギターの調整や製作で、誰かの役に立ちたいのか。

あなたにあった、ギターとの付き合い方を選んでください。

 
 
 

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