#試奏日和 002 Sakata guitars
- minashunta
- 2015年5月26日
- 読了時間: 5分
今回からしばらくハンドクラフトギターフェスでの試奏レポです。
まずは山梨県、甲府のSakata guitarsさん。
数年前、少ししか参加出来なかった年、
とある出展者さんからオススメして頂いてから、
毎年一番の楽しみにしています。
まずはこちら。
Dove model。



メイプルネック、メイプルサイドバック。
Doveは縁あってビンテージも何本か触らせていただいたことがあるのですが、
それとはまた違ったアプローチ。
まず握ったネックの太さ。
坂田さんは少し太くしすぎたかな?なんて仰ってましたが。
握りづらさは感じず、なれてしまえばこれほど頼もしいネックはないでしょう。
サウンドはしっかりとした骨太感と、解像度の高さ。
でもやはりDoveらしさを感じる、ワイルドなサウンドも出せます。
数年前にもメイプルサイドバックのギターを出展していて、
そのギターが忘れられないんですよね。
メイプルサイドバックで鳴るギターは楽器屋さんではほぼ出会えていません。
それにしてもこのトラ杢が綺麗!
バックの写真を綺麗に撮れなかったので割愛ですが、すごい綺麗なんです。
他の方が一眼レフとか出ちゃんととった写真を探してみてください。
こういう杢って難しいんですけど、持った時にお客さんには見えないっていうところがまた、いやらしさもなくて、いいなと思います。
DOVE Stroke
DOVE finger
おつぎはこちら。
DS-18C


スローテッドタイプのヘッドで小さめなボディ。
サイドバックは、キューバンマホガニー。
ご存知でしょうか、キューバンマホガニー。
ホンジュラス・マホガニーこそが最高だと思われている現代ですが、
実は本当のマホガニーといえばキューバンマホガニーなのです。
戦前のマーチン等で少数使われていただけのもはや伝説の材です。
しかし、無くなったというわけではなくこういった形で世の中に少数ですがあるようですね。
それにしても、良質なキューバンマホガニーです。
サウンドはスローテッドタイプらしい、コロコロとした高音部。
低音もどっしりとした感じではなく温かみがあり、カントリーなんかを楽しく弾けそうです。
坂田さんのギター全てに共通することですが、指弾きでもストロークでもとても気持ちよく鳴って、気持よく弾けます。
難しい言い方をすると、剛性のバランスがとても高いレベルでまとまってる。
1弦ハイフレットを軽いタッチで鳴らしても、ボディがしっかり鳴っていて。
6弦開放も輪郭がはっきりしながら倍音豊か。
どちらかに寄ったギターが多い中、どちらも取ることが出来るのだなぁと思いますし、どちらもハッキリと使い分けることができるので、よりそれぞれの良さを感じます。
DS-18C Stroke
DS-18C finger
最後にスタンダードなドレッドノートタイプ。ハカランダサイドバックです。
D-28 B


ハカランダを使ったモデルってハカランダを前面に出しているというか、ハカランダとはこういうものだ、という音がするものが多いです。
なにせ高い木なので。
往々にして、プライドの高い音で、気を使わないと鳴らないような、そんなイメージが多いです。
しかしこのギターはすごい気さくかつ、気品のあるギターです。
風の谷のナウシカの、ナウシカのような庶民に愛される王家の姫と言った感じ。
わかりますかね。笑
優しく弾けば優しく、力強く弾けばついてきてくれるし、時には導いてくれる。
そして、このギターは特に左手に伝わってくる情報量が多かった。
グリップ側もそうだし、指先に伝わる感覚の解像度の高さたるや凄まじかった。
もしかしたらステージ上でモニター環境が悪くても思い通りに弾けてしまうかも…なんて思いました。
もちろん、耳に伝わる情報量も、ものすごい。
でも、優しいギターなので、愛情を持って接すれば誰が弾いても良い音がしてくれると思います。
D-28B stroke
D-28B finger
sakata guitarsのすごいところは、これらのギターが出来てまだ間もないということ。
普通アコースティックギターって新品の時ってあまり鳴らないんです。
しかし、坂田さんの作るギターはかなり鳴る。
通常、ギターの剛性を落とすと新品でも鳴ったりしますが、そういうギターは長く使えるものではなかったり、長く使ってくうちに音が劣化して行く物もあったりします。
重複しますが、日本の個人製作家のギターの多くは、ある程度剛性を強くとって長く使えるギターを作る傾向にあると思います。(最近はまた次の段階に来てると感じますが)
きちんと作るという点にコダワリを持ち過ぎてしまったせいで、作りたては鳴らないギターになってしまうとうこともあります。
職人さんは一番良い仕事をした、という感覚を追い求めて居るわけで、どこにフォーカスするかというのはそれぞれの自由であり個性なので、どちらがいいというわけではありません。
でも初めから鳴らないギターは弾いても気持ち良くないんですよね。
だから、あまり弾かないし、そうなるとあまり育たない。
あまり弾かなくてもセットネックのギターって、作ってから一年くらいすると雰囲気変わって鳴るようにはなるのですが。
でもやはり買った時からどんどん弾きたい。
1年2年待ってられる人ばかりではないですよね。
エレキでもアコギでもそれは同じだなと思います。
しかし、坂田さんのギターを弾いていなければ「しっかりと作ったギターははじめは鳴らないものだ」としか認識出来ていなかったかもしれません。
(実際毎年製作家さんに、作ったばかりだから鳴らないけども、と言われることもあったり)
果たしてこれらのギターはどんなプレイヤーにわたってこれからどんなふうに育っていくのか。
そして来年はどんなギターが弾けるか。
今から楽しみです。
本日のギターのお値段(当日伺った値段ですのであくまで参考価格)
Sakata guitars DOVE model
¥705,000
Sakata guitars D-28
¥800,000
Sakata guitars DS-18
¥700,000円
合計
¥2,205,000円
坂田ひさしさんに感謝。

まだ手が出ませぬがいずれ僕も…。
つづく。
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