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ギターの音と構造の関係 #001

  • minashunta
  • 2014年3月4日
  • 読了時間: 4分

序章 〜エレキギターとは「とても特殊な楽器」である〜

エレキギターはすごい。

デザインも多彩で、音色も多彩。

ギター本体だけでは音作りが完結せず、エフェクター、アンプを使用して初めて楽器として本領を発揮する、とても拡張性の高い楽器、と言える。

しかしもっと面白いのは、出力できる信号が非常に微弱であり、尚且つ微弱故に、内部配線や、ギターとエフェクターを繋ぐケーブルの些細な抵抗までもが音に影響する。オーディオ類でも影響はあるが、ことエレキギターにおいては特に顕著に現れる。

そこにギターの面白みがある場合もあれば、厄介な要素にもなる、とても個性がある楽器だ。

だからこそ、世界中で愛され、ポピュラーになった。

だが、だからこそ。

他の楽器とは違う扱われ方をすることもある。

例えば、60年前の楽器に、何千万円という価値が付いたりする。

しかもそこに「楽器としての状態」はあまり関係なかったりする。

似た例で言えば、ヴァイオリンで有名な「アントニオ・ストラディバリ」の作品は何億という価値の個体も数多くあるが、基本的にはプロの演奏家に「楽器として」取引されているため、理想的な状態を保つために修繕は比較的スタンダードだと思われる。(修繕したからといって、価値が下がることはあまりない、かと思われる)

逆に、著名な演奏家が弾いていたということはとても名誉なことであり、音響的にも優れてる場合があるため、価値が上がることもある。だが、この楽器は18世紀に作られている200年前のものであり、家具もそのくらい経てば「アンティーク」として高騰するものだ。

だが、エレキギターは60年前の大量生産品が高騰している。

しかも「オリジナルの状態を保っているかどうか」ということが一番の価値を分ける点である。

楽器としての演奏性や、サウンドは関係ない。

GibsonのLesPaulは年代により変化しているが、一番人気のある58-60年の三年間、2000本ほど生産されたモデルが特に人気で「バースト」と言った愛称で呼ばれている。

このモデルに関しては、当時の定価の10~100倍位は当たりまえ。300-3000万円ほどだろう。ここに付加価値が更に着けば、億に乗る場合もある。

ここまでを読んで、ギタリスト以外の人は驚くのだろうか?

ギターってそういうものなんだ...と思って頂けたら、それでいいと思う。

だが、これからギターを弾きたい方も込で「ギタリスト」はどう思うのだろうか。

殆どの人が「ビンテージとはそういうものだ」「ビンテージにしか出せない音があるから価値がある」と思っているのではないだろうか。

これは、正解であり、不正解である。

まず一つ目、ビンテージとは確かにそういうものだが「価値」は後から付けられたもので「そういうものという感覚を作り上げた業界」が存在する。

そして2つ目、ビンテージにしか出せない音は確かにあるが「ビンテージにしか出せない音が、いい音かどうか」は別の話である。

ましてや「ビンテージにしか出せない音には3000万円の価値がある」なんてことはあり得ない。

ついでに「オリジナルの状態がサウンド的に一番いい」ということも否定しておこう。

なぜなら、良い楽器はプレイヤーに気に入られ、弾かれる。

ギターはフレットの摩耗などがあるから、オリジナルの状態では弾きづらい場合が多い。

弾きづらい状態で、出せるサウンドもあれば、出せないサウンドもある。

言い換えれば、できる表現と、出来ない表現がある。

そう考えると、オリジナルの状態を保っている楽器はそもそも弾かれてこなかった楽器だと言えるし、

オリジナルでも弾かれまくってるギターは、あんまりいい状態じゃないとも言える。

そのギターを良い技術者がリフレットやナット交換をすれば、絶対に良いサウンドになる。

だが、それでは市場価値が下がるのだ。

なんとも皮肉な話である。

ビンテージを持って、その能力を最大限に引き出せるプレイヤーが世界ツアーを回る、となればある意味3000万円を簡単にペイできるコストパフォーマンスはあるかもしれないが、そのギターの音や楽器としての価値としてみれば、3000万円のうち、1%。30万円あれば近いサウンドを再現することはできるし、もっと弾きやすいギターを手に入れることはできる。

個人的には、ビンテージを持ってる人は羨ましいし、自分もギターファンとしてほしいと思う。

ビンテージ以外糞だね、なんてふうに見下している人は軽蔑するが。

だが「ビンテージこそ最高と言っているメーカーや雑誌や楽器屋」は否定する。

人生50年。エレキギターの歴史も、まだたった60年。

良いギターは、これからどんどん生まれ続けていく。

新しい流れを作り上げる時代に、もうなっている。

流れを後押ししたり、また違う流れを作ったり。

そういったことを目的として、私の駄文を世界中に垂流す次第で、ございます。

というわけで、これからちょこちょこと気の向くまま、書いていきます。

よろしくお願いします。

 
 
 

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